2010年12月25日土曜日

電気システムとしての人体 (ブルーバックス)

久保田 博南:電気システムとしての人体 (ブルーバックス) 、講談社 (2001/8/20)

人体がロボットと同じように電気仕掛けで動いているというお話。

また、生命の起源が海にあるという話も興味深かったです。

著者は文章がとても巧みで、専門的な内容も一般読者に分かりやすく書かれています。著者の紹介を見たら、この分野の専門家であるだけでなく、サイエンスライターであることが分かり、なるほどと思いました。

なかなかの良書だと思います。




2010年12月19日日曜日

言葉のチカラ ―コミュニケーション レッスン

香山 リカ:言葉のチカラ ―コミュニケーション レッスン、集英社 (2008/10/24)


読書スランプの中、何とか読み終えた一冊。

日常で普通に使う様々な言葉を取り上げ、人間関係をよくするためにそれらの言葉をどう使うかについて解説しています。

精神科医と文筆家の2つの立場から解説していて面白かったのですが、...スランプ中なもので心に響いてこなかったです

2010年12月13日月曜日

読書スランプに陥ってしまった

読書にはどうもスランプの時期がある.

調子のいい時は月に5冊くらい読めるのに,この一ヶ月は全く読めていない.かじりかけの本ばかり机の上に並んでいる.

頭の中が雑念だらけで,本を読もうという気がしないのだ.
雑念を振り払うために,無理やり読むのだが,書いてあることは全く頭に入ってこない.

こういう時によく音読することがある.すると,少しは読めるが,やはりあまり頭に入ってこない.

面白い本に出会うと,状況が一変するのかもしれない.何か面白い本ないかな?

2010年11月13日土曜日

化学・意表を突かれる身近な疑問 (ブルーバックス)

日本化学会 (編集): 化学・意表を突かれる身近な疑問 (ブルーバックス) 、講談社 (2001/7/19)



化学に関連する雑学集のようなお話。


少し難しいところはありますが、なかなか面白くて勉強になる本だと思います。


タイトルにある「意表を突かれる身近な疑問」というのは、まさにその通りの内容で、日頃あまり気にとめないようなことを化学で解説しています。たとえば「ウンチの色はなぜ茶色いか?」や「クモはどうして自分の巣に引っかからないか」など、そんなこと考えたこともなかったです。


親子の会話形式で書かれているのですが、こんな専門的な解説ができる親なんているのかな?という素朴な疑問を感じました。先生と生徒との会話でも良かったのでは?

2010年11月8日月曜日

絵とき「CAD/CAM」基礎のきそ

朝比奈 奎一 (著) :絵とき「CAD/CAM」基礎のきそ (Mechanical Engineering Series)、日刊工業新聞社 (2007/05)

CAD/CAMとはコンピュータを使って製品を設計・製作するためのシステムです.この本では,そのCAD/CAMの基礎中の基礎が解説されています.初心者向け良書だと思います.

図や写真が豊富で,かつ,CAD/CAMを使った設計の実例にかなりのページを割いていて,とても分かりやすいと思います.おそらく,掲載されている実例は著者の学校の実習で行っていることかと思います.

CAMについては他書にないような内容まで含まれていてとても,勉強になりました.その反面,CADについては内容がかなり限定されていて,もの足りない感じはしますが, 200ページ程度に収めるためにはしょうがないのかなと思います.

2010年10月30日土曜日

携帯電話は人工知能の夢を見るか?

溝口 文雄 (著): 携帯電話は人工知能の夢を見るか?―計算機械から知識活用システムへ (東京理科大学・坊ちゃん選書) 、オーム社 (2009/11)


肩すかしにあったような感じです。


私は学生の頃に著者の溝口先生の本を読んで人工知能の勉強をしました。その溝口先生の書かれた本ということで読んだのですが、...


本のタイトルにある携帯電話の話は、本の最後の方の40ページだけ。他はコンピュータの歴史の話です。本の魅力的なタイトルに魅かれて読んだ人はたぶん落胆されるのではないかと思います。


でも、最後の40ページはなかなか面白いと感じました。今までブラックボックスだった携帯電話がアンドロイドの出現で、ユーザが独自にアプリケーションを作れるようになる。これは大学の研究者にとっては、かなり魅力的なことで、携帯電話を利用した研究が一気に進むような予感を感じました。

2010年10月24日日曜日

夢をかなえるゾウ

水野 敬也:夢をかなえるゾウ、飛鳥新社 (2007)


面白い!実に、面白い!この本。

主人公が自分を変えるために、インドの神様ガネーシャが次々と出す課題をこなしていくというお話。そして、その話を通して、人生で成功するための方法を読者に教えるという内容です。

関西弁のガネーシャは実にふざけた神様ですが、教える内容は実に的を得ているように思えます。

最後の課題あたりから、私が主人公であるかのような感覚になりました。こんな感覚を受けたのは何年ぶりだろうか?

そして、...最後は思わず泣いてしまった。この本読んで泣くのは私ぐらいかな?

2010年10月21日木曜日

国家の品格 (新潮新書)

藤原 正彦 (著): 国家の品格 (新潮新書)、新潮社 (2005/11)

論理と合理は大事だがそれで全てを決めるのはダメ、民主主義はダメ、小学校での英語教育はダメ、金儲け至上主義や何でも市場原理で決めるのはダメ、そして、日本の情緒、形、武士道精神が必要、というのが主な主張点です。読んでみて、確かにそうだなと思える部分は結構ありました。

この本の楽しみ方は2通りあります。一つは書いてあることを全て信用して読む楽しみ方。そしてもう一つは、著者の奥さんが言っているように「話の半分は誤りと勘違い、残りの半分は誇張と大風呂敷」だと思って読む楽しみ方です。
個人的にはかなり偏見・先入観が入っているように感じましたが、そう思って読むのもそれはそれで楽しいと思います。私は少なくとも不快にはならなかったです。

著者は数学者なのに、専門外のことをいろいろご存じで驚きます。

たぶん相当変わった人なんだろうな?でも、何か憎めないです。でも、...同じ職場にこんな人いたら嫌だな(笑)。

2010年10月16日土曜日

コミュニケーション力 (岩波新書),斎藤 孝

斎藤 孝:コミュニケーション力 (岩波新書)、岩波書店 (2004/10)


コミュニケーション全般についての著者の考えを示した本で、なかなか良い本だと思いました。

残念なのは、著者の他の本で述べられていることがかなり含まれている点です。コミュニケーションという切り口で、他の本の内容を含めてまとめた、という感じです。

コミュニケーションでは、話の流れをつかむ「文脈力」が重要であることや、意味を伝えあうだけでなく感情も重要であること、リベートを教育に取り入れるのは良くないこと、など共感できる点やなるほどと思う点が多々ありました。

最後の周りから無視されて自殺した子供の話は、コミュニケーションの重要性を再認識させられました。

やはり大事なのですね、コミュニケーション。

2010年10月10日日曜日

脳に効く「睡眠学」

宮崎 総一郎 (著) :脳に効く「睡眠学」 角川SSC新書、角川SSコミュニケーションズ (2010/3/10)



最近、不眠に陥ってしまい、この本を読むことに。


滋賀医科大学で睡眠学を専門にされている宮崎氏が書かれた本で、具体的なデータをもとに睡眠について解説されていて、とても説得力があり、また、私のような不眠に悩む人には目から鱗です。

興味深かったのは、睡眠時間が短いと死亡率が上がり、逆に長すぎても死亡率が上がる点、そして、学力についても同様で、 睡眠時間が短すぎても、長すぎても学力が下がる点、です。長く寝ればよいというものではないのですね。


そして、この本を読んで、今まで大きな誤解をしていたことがわかりました。それは、体温を上げると快眠できないという点です。その逆だと完全に思い込んでしました。


この本に書かれていた快眠のための方法のうち、以下のことをさっそく実践してみたところ、...いつもより寝れた感じはしました(気のせいかな?)。
・夜に強い白色光に当たらない。
・夜にテレビやパソコンの画面を見ない(画面からでる光が快眠を妨げる)。
・夜に運動しない(体温が上がる)。
・寝酒をしない。
・遅い時間に夕食をとらない(体温が上がる)

2010年9月29日水曜日

星守る犬:何度も読み返し,何度も泣きました.

村上たかし:星守る犬,双葉社 (2009/07)

何度も読み返し,何度も泣きました.

病気を患って,リストラされてしまい,さらに離婚.そんなお父さんと犬が旅に出る話です.

お父さんも犬も死んでしまうところは,フランダースの犬を彷彿させます.でも, フランダースの犬との大きな違いは,この話は現代の日本では普通に起こりうることであり,そして,私達自身がこのお父さんのようになりうるという点です.このため,お父さんに自分を重ね合わせて読んでしまいます.

先日,紹介した「しがみつかない生き方」に書かれていましたが,今の日本では,いったんレールから外れてしまうと,生きること自体が困難な状況になる.そのことを改めて感じてしまいました.

現在,映画化が進行中とのこと.来年の夏に公開される予定だそうで,今から楽しみです.

余談ですが,作者の村上たかしさんが私と同じ町に住んでいることを知り,びっくりしました.

2010年9月26日日曜日

つながりの科学―パーコレーション (ポピュラー・サイエンス)

小田垣 孝 (著): つながりの科学―パーコレーション (ポピュラー・サイエンス) 、裳華房 (2000/05)


この本は、あまり聞き慣れないパーコレーションを解説したものです。パーコレーションとは、うわさ話が人から人へと伝わっていく時の人と人とのつながりや、水道管のつながり、碁盤上の碁石のつながりなど、様々なつながりを科学的にとらえたものです。

「一人の人が平均4.5人以上の人に情報を伝えると、その情報は全国に広がる」や「ビンゴゲームで、約60%の穴があいたときにビンゴになる人が多い」など、身近な事例を使ってパーコレーションを解説されていて、とても面白かったです。

科学を扱う本ですが、数式はほとんど出てこないので、一般の人でも読めると思います。でも、若干難しい箇所もあります。




2010年9月25日土曜日

しがみつかない生き方―「ふつうの幸せ」を手に入れる10のルール

香山リカ:しがみつかない生き方―「ふつうの幸せ」を手に入れる10のルール、幻冬舎 (2009/07)

香山リカさんと勝間和代さんとの対決?の発端になった本。昨年、話題になり、結構売れたと思います。


特定のものにしがみつかず、のめりこまず、頑張りすぎず、「普通の幸せ」を手に入れようという内容だと思います。精神科医らしい本です。同じく精神科医で作家の斎藤モタさんと何となく共通点があるように思います。


日頃、頑張らないといけないと思っている人にはこの本は良いかも?たぶん、精神的に楽になれると思います。

香山さんが「目先の生活のためだけに仕事をしている」と言い切っているのには少々驚いたし、何とまあ正直な人なのだと思いました。普通の作家なら「仕事する理由」を訊かれたら、もっとかカッコイイことを言うのではないかと思います。

何か好きだな、香山リカ。

2010年9月22日水曜日

頭がいい人、悪い人の話し方

樋口 裕一:頭がいい人、悪い人の話し方,PHP研究所 (2004/06)

いろいろなバカを紹介していると言う点では,以前,紹介した筒井 康隆さんの「アホの壁」と似たところはあるものの,この本は実に後味が悪い!「アホの壁」の方は笑えます!

作者の偏見や先入観に満ち満ちていて,読み進めるうちにだんだん気分が悪くなってきます.これは,私自身が作者の紹介する「頭が悪い人」に当てはまるということもありますが,....

この本に書かれている「頭が悪い人の話し方」をむしろ真似てみようと思うのは私だけか?

それと,「頭のいい人の話し方」も紹介して欲しかったな.

アマゾンでこの本のカスタマーレビューを見たら,やはり酷評されていました.

2010年8月19日木曜日

カランコロン漂泊記 ゲゲゲの先生大いに語る

水木 しげる (著) :カランコロン漂泊記 ゲゲゲの先生大いに語る,小学館; 新装版版 (2010/4/6)


図書館で水木 しげるさんの本を捜していたら,ほとんどが貸しだし中で,この本しかなかったので,とりあえず借りて読むことに....

この本は,水木しげるさんのエッセイなのですが,半分は文章によるエッセイで,もう半分はマンガによるエッセイです.

内容は,子供の頃の話,戦争中の話,水木さんが出会ったケッタイな人々の話,そして幸福論です.


世の中にはどうしようもなく不幸な人がいて,本人の努力ではどうにもならないことや、戦争の愚かさ,幸福・不幸とはいったい何なのか?などなど、いろいろ考えさせられました.
面白いというより,考えさせられる内容だと思います。

水木さんの生前墓の話があり、墓の左右にねずみ男と鬼太郎の石像があって、壁面には40体以上の妖怪が彫られているそうな。実物を無性に見たくなってしまった。


2010年8月17日火曜日

感動する科学体験100 ~世界の不思議を楽しもう

NewScientist (編集), 樋口 健夫 (監修), 樋口 容視子 (翻訳): 感動する科学体験100 ~世界の不思議を楽しもう、技術評論社 (2007/8/2)



これは、なかなか面白い本です。


"100 things to do before you die"(死ぬ前にすべき100のこと)という本の訳本で、原本は結構売れた(らしい?)


体験できるかも知れない?100件の科学現象や実験などが紹介されています。


「自分のDNAを抽出する」や「自分の頭の重さを計る」、「チョコレートで光を速度を計る」などの自宅でもできそうなものもあれば、「ミグジェットで飛ぶ」や「無重力を体験する」などの一般人には到底実現できそうにないものもあります。


また、真面目なもの、興味深いものもあれば、思わず笑ってしまうものも...
一番、可笑しかったのは、グリズリー(アメリカの熊)と友達になるためのロボットスーツです。こんなものが特注で販売されていて、これを紹介するDVD「プロジェクト・グリズリー」まで製作されていとは、...アメリカ人はようやるなあと思ってしまいます。


子供の自由研究に使えそうなものもありました。



2010年8月16日月曜日

50代からの生きかた上手

斎藤 茂太 (著): 50代からの生きかた上手―人生を豊かにする法則、ベストセラーズ (2002/09)

私はまだ50代ではないのですが、モタさんの本を読みたくなり、この本を図書館で借りてきました。

この本の最初に伊能忠敬とシュリーマンの話があり、感激しました。

伊能忠敬は酒づくりや米の取引をしていたのが、50歳で隠居してから測量や天文学の勉強をし、55歳から日本全国の測量を始めたそうだ。
シュリーマンも商売をしていたのが、42歳から自分の夢である「トロイ遺跡の発掘」のため、考古学の勉強をはじめ、実際に発掘を果たしたそうだ。
50代になれば、あとは惰性で生きていくものだと思っていましたが、人生とはその人のやる気次第で2回あるものなのですね!


自分もそんな生き方がしたいとこの本を読んで強く思いましたが,......じゃ50歳から何するか?考えてもさっぱり思いつきません。

2010年8月7日土曜日

人は見た目が9割

竹内 一郎 (著): 人は見た目が9割(新潮新書)、新潮社 (2005/10)

タイトルから想像した内容とはかなり違っていて、ノンバーバルコミュニケーション(言語以外によるコミュニケーション)について真面目に書かれた本


この本で言う「見た目」はかなり広い意味で使われていて、外観以外に、表情、匂い、しぐさ、色なども含まれ、こういったものは言葉よりもコミュニケーション手段として大きい、...というのがこの本の主張点です。


著者が関わる演劇やマンガなんどの題材でノンバーバルコミュニケーションを説明されていて、興味深かったです。


Amazonのおすすめ度を見ると、随分低いのですが、私は結構面白い内容だと思いました。


2010年7月25日日曜日

猫の恋

岩合 光昭・写真, 石 寒太・選句 :猫の恋、毎日新聞社 (2010/3/17)


動物の写真で有名な岩合 光昭さんの猫の写真と石 寒太さんが選んだ猫句(猫について詠んだ俳句)とのコラボ。心を和ませてくれる本です。


写真は可愛いものもあれば、切ないものも。人間の男女関係の(あるいは人生の)縮小版(縮短版と言うべきか?)を見ているような感じです。

小林一茶、松尾芭蕉などの著名な俳人から夏目雅子まで様々な人の猫句を石 寒太さんが選んでいます。

本のタイトルの「猫の恋」が季語になっているとは知りませんでした。猫を題材にした俳句って昔から詠まれているのですね。それと夏目雅子さんが俳句を詠んでいたとは...知らなんだ。

2010年6月28日月曜日

うめ版 新明解国語辞典×梅佳代

新 明解国語辞典 (著), 梅 佳代 ,うめ版 新明解国語辞典×梅佳代:三省堂 (2007/07)


思わず笑ってしまう 梅 佳代の写真,その写真にぴったりの言葉,そしてその言葉に対する新明解国語辞典に書かれた意味・解説,を載せた本.

梅 佳代の写真,大好きです.人物や動物の表情に何とも言えないおかしさがあります.

新明解国語辞典に書かれた意味も写真とセットで見るとなかなか笑わせてくれます.

著者に”辞典”が入っている本って初めて見ました.なかなか面白い企画だと思いました.


今年は月に2冊,年間で24冊読むという目標を立てていたのですが,半年でクリアーしました.後は読むのに時間のかかる難しい本を中心に読んでいこうと思っています.




2010年6月9日水曜日

仮説力ーできる人ほど脳内シミュレーションをしている


竹内 薫 (著) :仮説力ーできる人ほど脳内シミュレーションをしている、 日本実業出版社 (2007/1/25)

科学の分野では,仮に説を(つまり仮説を)設定し,それが正しいかを実験やシミュレーションなどで検証していく,というのが通常のやり方です.本書では,数学や物理などの科学の話題を取り上げ、仮説の重要性を説くいています。

この本で取り上げられている科学の話題はどれもとても興味深く、面白かったです。

が、....
本のタイトルと内容が合っていません
出版社の方から「...力」というタイトルの本が売れてるので、そういうタイトルにしろと言われたのでしょうか?
「数学力」や「物理力」では売れないので、「仮説力」にしたのかな?と想像しています。

この本を読もうと思ったのは、”仮説”と”脳内シミュレーション”という言葉に惹かれたからで、てっきり仮説を設定する能力を身に付けるための方法が書かれているのかと思いました。各章には、科学の話題と仮説との関係も申し訳程度に書かれていましたが、ほとんど関係の無い話題もありました。

でも、繰り返しますが、とりあげている科学の話題は面白かったですよ。

2010年6月5日土曜日

世界は分けてもわからない (講談社現代新書)

福岡 伸一 (著) :世界は分けてもわからない、講談社 (2009/7/17)


「生物と無生物のあいだ」で有名な福岡伸一さんの本。

著者の福岡さんは、理科系人間なのに文系的な文才がある、特異稀な才能の持ち主だと思います。

様々なタンパク質や酵素、ES細胞、癌など、かなり生物学の専門的な話を扱っているにもかかわらず、心地よい音を発ててコーヒーをカップに注ぐがごとく、滑らかに頭の中に入ってきます。

一見関係のない話を持ち出し、それを専門の話と繋げていくというスタイルが読者の興味を惹き付けていきます。しかも、各章は独立しているに思えるのですが、別の章の話を巧妙に紛れ込ませる...これは素晴らしい。


後半の癌の話は、時系列で書かれていることもあるのですが、まるでドラマを見ているような気分にさせます。


久々に凄い本を読んだ。

2010年5月26日水曜日

一日一生 (朝日新書) すごいお坊さんが書いた本

酒井 雄哉 (著) :一日一生 (朝日新書) 、朝日新聞出版 (2008/10/10)

一日を一生だと思って生きようという考え方が示されています.つまり,辛いことや悲しいことがあっても,明日はまた違う一生だと考えることにより,辛さや悲しみを明日に引きずらないというものです. 

著者の酒井雄哉さんは比叡山の住職です.7年間で約4万キロを歩くという荒行「千日回峰行」を2回もやった,つまり14年間歩いたというすごい方です.こ の本にいくつかの荒行が紹介されていますが,どれも信じ難いものです.たとえば,90日間横になることなく,お経を唱えながら歩き続けるとか...偉いお坊 さんはこんなことをされているのですね.私は偉いお坊さんに対する見方が完全に変わりました.

最初はお坊さんの説法かと思って読み始めたのですが,著者の子供の頃からの経験談が中心でした.人によっては普通の話しと思うか知れません.でも,言葉をかみ締めて読んでいると,心にとても響いてきます.
たとえば「どんなにひどい目にあっても,時間がたてば必ず,いろいろなことがあったなあ,と思える時が来るよ.後になってから意味がわかることもある.(P.61)」はありきたりのことかも知れません.でも,これが心に響いてきます.

著者は子供の頃に満足に勉強してないということでしたので,文中には仏教用語以外では難しい言葉はなく,子供でも読めると思いました.

2010年5月23日日曜日

経済ってそういうことだったのか会議

佐藤雅彦 (著), 竹中平蔵 (著):経済ってそういうことだったのか会議,日本経済新聞社 (2002/09)

佐藤氏と竹中氏の対談を通して,「経済とはどういうものか」を解説する本.

これまで経済関係の本を何度も読もうとしたのですが,いずれも途中で断念してしまっていました.でも,この本はとても分かりやすく,かつ,面白く,最後まであっというまに読めました.

経済の語源が「共同体のあり方」だという最初の話で、目の前にあった高い「経済学」の壁がいっきに崩れ去った感じがしました。ほんとうに「そうだったんですか!」という感じです。

佐藤氏,竹中氏の個人的な意見や考え方が入っていると思われるので、そういう意味では純粋な解説本ではないと思っています。ちゃんと勉強するためには、やはり、お堅い経済学の本を読まないといけないのかな?

この本を読んで、竹中&小泉時代が正しかったのかと思うようになりました。竹中さんって何か凄い。もちろん佐藤さんもだけど。続編が出版されることを期待します。

2010年5月16日日曜日

マンガ 精神分析学入門 (ブルーバックス)

アイヴァン・ワード (著), オ スカー・サラーティ (イラスト), 小 林 司 (翻訳) :マンガ 精神分析学入門 (ブルーバックス),講談社 (2010/1/21)

人間の心と行動を読み解く方法である精神分析をマンガで解説しようとする本。

心の様々なモデル(理論)についてはなかなか難しいです。後半の精神分析の実際的な話や社会にへの影響はわりと分かりやすかったです。前回読んだ「マンガ フロイト入門」の本に比べると、解説文が多い分だけ分かりやすいと思いました。

この本と前回の「マンガ フロイト入門」を読んでから、自分で自分の見た夢の分析をしたりしています。「いったいこの夢はどこから来ているのか?」を幼児期まで遡って考えてみると、今まで意識しなかった無意識部分が顕在化していくような気分になります。

この本のほとんどのページに登場する女性は誰なんのでしょうか?とても気になります。フロイトの写真は合成なのかな?

2010年5月14日金曜日

マンガ フロイト入門 (ブルーバックス)

R. アッピグナネッセイ (著), O. サラーティ (イラスト), 小 林 司 (翻訳) :マンガ フロイト入門 (ブルーバックス),講談社 (2007/7/20)

以前から読んでみたいと思っていた精神分析で有名なフロイトについて書かれた本なのですが,...

マンガだから分かりやすいか,と言うとそうでもなかったです.どちらかというと難しいかも?本のほとんどは絵なので,一気に 読めました.

著者のR. アッピグナネッセイがこの分野の専門家でないのが気になりました.でもこの本のイラストは好きです.翻訳者はこの道の専門家です.


2010年5月11日火曜日

英語が好きになる5分間話 上級編


石戸谷 滋 (著), 真鍋 照雄 (著) :英語が好きになる5分間話 上級編、黎明書房 (2009/06)



英語を勉強するための本ではなく英語を楽しむための本です。

5分間で読み切れる話が42話載っていて、英語にまつわる面白い話や英語の語源や雑学などあり、結構楽しめました。

コロンとセミコロンの意味の違いやGeeの意味など、今まで良く分からなかったことが分かり、この本を読んですっきりしました.


2010年5月9日日曜日

アホの壁

筒井 康隆 (著) :アホの壁、新潮社 (2010/02)




「筒井康隆がまたアホな本を書いとるわ」と思いながら読み始めましたが、結構、真面目なアホ論で、面白かったです。


「バカの壁」のパロディではないのですが、「バカの壁」と同じ新潮新書なので本の外観も同じ。本屋さんでこの2つの本がもし並んで置いてあったら、それだけで笑ってしまいそうです。
私は、両方の本を読みましたが、この「アホの壁」の方が面白いと思いました。


この本にはいろいろなアホの類型が紹介されていて、「こんなヤツおるおる」とか「これは俺や」とか思いながら読みました。誰しもどこかアホな部分があるものです。
あおり運転をするようなアホな人にぜひこの本を読んでもらって、「自分はアホだ」という認識を持ってほしいですね。




最近、ぜんぜん3行になってないな。


2010年4月29日木曜日

ろうそく物語ー偉大な科学者ファラデーの講演本




Michael Faraday (原著),白井 俊明 (翻訳) :ろうそく物語、法政大学出版局 (2005/07)


今から150年も昔(1860年)に偉大な科学者ファラデーが子供たちを対象に行った講演を本にしたもので、ろうそくを題材に様々な化学現象を解説しています。


文章から実験装置や実験の様子を想像するのはなかなか難しいところがありました。解説図がもっとあると分かりやすかったのですが、原本にないのだから、まあしょうがないか。

もし私がこのファラデーの講演を直接聴いていて、本に載っている様々な実験を見ることができたら、おそらく相当感動したと思います。講演を聴いた子供たちを羨ましく思います。

原題は「The Chemical History of a Candle」で、この「ろうそく物語」意外に、別の人が「ろうそくの科学」というタイトルで翻訳しています。私が「ろうそく物語」の方を選んだのは、図書館に「ろうそく物語」の方しか無かったからというそれだけの理由です。









2010年4月18日日曜日

ストレス知らずの対話術

齋藤 孝:ストレス知らずの対話術 、PHP研究所 (2003/4/16)


マッピングと呼ばれる図を使って対話する方法について書かれた本です。

節が適当に短くて、読みやすかったです。

これはマインドマップや連関図のパクリでは?マインドマップを初めいろんな本を参考にして書いておられるのではと思いましたが、参考文献が全く挙がっていないのも気になりました。



2010年4月4日日曜日

パンダの飼い方

白輪 剛史 (著) :パンダの飼い方、PHP研究所 (2010/2/27)


動物商の著者が、パンダやライオン、カピバラなど珍獣、猛獣の飼い方などについて書いたとてもユニークな本です。

いろんな動物の特性や意外な側面について書かれていて面白かったです。

動物を飼うということは、本来自然にいるべき動物を人間が拘束することであり、それを考えるとちょっと複雑な思いです。


2010年3月26日金曜日

練習3分でもっと上手に話せる本

新 田 祥子 (著):練習3分でもっと上手に話せる本,日本能率協会マネジメントセンター (2009/8/26)


上手に話をするための技法が具体的に書かれていて,とても良い本だと思います.

問題は,書いてあることを実践できるかどうかですね.

顎をしっかり動かして発声することや文節ごとに半拍空けて話すことを実践すると,それだけでも結構違ってくるように思いました.




2010年3月14日日曜日

ぱんだだ!―中国・日本パンダ紀行

大田垣 晴子 (著) :ぱんだだ!―中国・日本パンダ紀行 、文藝春秋 (2007/04)


日本と中国のパンダの写真と漫画で癒す本です。

やっぱり子パンダは可愛い!たまにはこんな癒し系の本も良いかと。

でも、なんかちょっと物足りないな....





2010年3月13日土曜日

孫子の兵法


現代ビジネス兵法研究会 (著) :なるほど!「孫子の兵法」がイチからわかる本、すばる舎 (2008/9/19)


2500年前に書かれた戦術書を現代のビジネスに生かすための本です。

以前から読んでみたいと思っていた「孫子の兵法」ですが、結構、面白かったです。

「孫子の兵法」に関する本はこの本以外にもたくさん出版されていますが、こういう本が売れる現代社会というのは何か悲しい感じもします。




※読みたい本がたくさんあり過ぎます。。。。。

2010年3月7日日曜日

春はどこから―さとやま便り

落合けいこ :春はどこから―さとやま便り、どうぶつ社 (2004/01)


庭の生き物の様子を伝えた本です。

絵はもちろん、文章も手書きのとても素敵な本で、癒されました。

「不要な命など一つもない」という言葉が心に残りました。生き物好きの方にはお薦めの一冊です。


2010年3月6日土曜日

人間盛りは百から百から―転ばぬ先の「超人」語録

秋庭 道博 :人間盛りは百から百から―転ばぬ先の「超人」語録、麗澤大学出版会 (2008/05)


80歳以上生きた著名人101人の言葉を取り上げ、その言葉に関する著者の考えや解説が述べられています。

取り上げた言葉から著者の文が脱線している場合が少なくないように思います。

どうも心に響いてこなかったです。

2010年2月22日月曜日

元気力―あなたの心を切換える101のスイッチ

松崎 俊道 :元気力―あなたの心を切換える101のスイッチ、麗澤大学出版会 (2008/02)


精神面で元気に生きるためのいろいろなTipsが盛り込まれた本です。

以外に(なんて言うと著者に怒られそうですが)、この本に書かれていることは参考になりました。

字が大きくて、空白もたくさんあり、あっと言う間に読めました。



2010年2月21日日曜日

現代老後の基礎知識

井脇 祐人 , 水木 楊 :現代老後の基礎知識 (新潮新書) 、新潮社 (2003/10)


ストーリー仕立てで老後の知識を解説するというユニークな本です。

堅い本のタイトルとは裏腹に、とても面白く、かつ、老後が気になる年代の人には役に立つ本です。

最初は気が付かなかったのですが、「現代老後の基礎知識」は「現代用語の基礎知識」を捩っているのですね。


2010年2月16日火曜日

人生の四季に生きる

日野原 重明:人生の四季に生きる、岩波書店 (1987/06)


人生の春、夏、秋、冬を(特に老いや死、病を意識して)どう生きるかについて書かれた本です。

日野原さんの本を読むのはこれで何冊目か分からなくなるくらい読んでいますが、毎回、この方から学ぶことは多いです。

苦しい時、辛い時、悩んでいる時、これまで幾度となく日野原さんの本に助けられました。


2010年2月7日日曜日

バカの壁

養老 孟司 (著) :バカの壁 (新潮新書) 、新潮社 (2003/4/10)

人間が作ってしまう精神的な壁の話。

私の場合、職業柄からバカの壁を感じることがよくあるのですが、私自身も壁を作ってしまっているのかもしれないと思うようになりました。

読んでみて、なるほどと思うところも多々ある半面、そうかな?と疑問を感じる点もあり、たぶん、この本は人によって評価が分かれるのではないかと思います。



2010年1月25日月曜日

素人のように考え、玄人として実行する

金出 武雄:素人のように考え、玄人として実行する―問題解決のメタ技術,PHP研究所 (2003/06)


問題解決についてのHow to物ではなく,著者の日頃の様々な主張がてんこ盛りされた本です.

とても面白かったです(特に後半の3章,4章).

20数年前に著者の金出先生の講演を聴く機会があり,凄いけど面白い人だと当時思いました(司会者から急に振られて戸惑う金出先生の様子を今でも覚えていますよ).

2010年1月6日水曜日

DNAロボット―生命のしかけで創る分子機械

萩谷 昌己,西川 明男 :DNAロボット―生命のしかけで創る分子機械 (岩波科学ライブラリー),岩波書店 (2008/12)


遺伝子のDNAを材料にして,いろいろな形の構造物を作ったり,動かしたりという,...ある意味,ケッタイな話.

久々に面白い世界に遭遇したという感じです.

専門的なのですが,比較的分かりやすく書かれています.


2010年1月4日月曜日

コーチングの技術―上司と部下の人間学

菅原 裕子:コーチングの技術―上司と部下の人間学 (講談社現代新書),講談社 (2003)


性善説に基づいて人をやる気にさせるための指導方法について書かれた本です.

コーチングの本は読むのはこれで2冊目ですが,書いてあることはとても参考になりナルホドと思うものの,なかなか実践できないです(実践できないのは私個人の問題です).

「この人は指導のやりようがない」と感じるような性悪な人に対してはどう指導したらいいのでしょう?それが問題だ!