2011年10月29日土曜日

百歳

柴田トヨ (著) :百歳、飛鳥新社 (2011/9/13)

今年で100歳になる柴田トヨ さんの詩集。前作の処女詩集「くじけないで」に続く第2詩集です。

この方の詩は、心の思うままに書いたのではなく、かなり推敲されているという印象を受けました。言葉の選び方や表現の仕方を見ると、かなり時間をかけて書かれたのではないでしょうか。

今回の詩集で一番心に残ったのは、次の一節です。

「人生に
当たり外れなんて
ないのよ
気持次第で
青い空が見えてくる」

やはり気持ちの持ちようなのですね。私もそう思って生きていきたい!

そして、詩の一節ではないのですが、次の最後の言葉もとても心に響きました。

「人にやさしくする。そして、やさしくしてもらったら忘れない。これが百年の人生で学んだことです。」

私はこれまで様々な人からやさしさをもらい、そして、この詩集からたくさんのやさしさを頂きました。この詩集を読んで、自分の生き方を今一度見つめなおしたいと思いました。

ありがとう!トヨさん。

2011年10月22日土曜日

武士の家計簿 ―「加賀藩御算用者」の幕末維新 (新潮新書)

磯田 道史 (著):武士の家計簿 ―「加賀藩御算用者」の幕末維新 (新潮新書) 、新潮社 (2003/4/10)

“武士”というと、時代劇に登場する武士のイメージしかありませんでした。そこには、粋でかっこよかったり、町民を下げすむ姿や人情味あふれる姿があったり...

しかし、それはあくまでも現代人が作った武士。ほんとうの武士とはいかなるものか?

この本では、「金沢藩猪山家文書」から実際の武士の生活を読み解いていってます。

そこから浮かび上がってきたものは、...収入が少ないにも関わらず、冠婚葬祭などに金を使い、借金を抱え破産寸前になった武士の姿や、ソロバンで下級武士から伸し上がっていった様子、そして明治維新後の士族の困窮ぶりなど、実に生々しいものです。

この本を読んで、武士に対するイメージが大きく変わりました。

とてもユニークな一冊!

2011年10月16日日曜日

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

福岡 伸一 (著):生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)、講談社 (2007/5/18)

面白く、かつ読みごたえのある一冊。さすが、『読んで面白かった新書(朝日新聞2011年7月16日に掲載)』でランキングトップの本だ!

この本では、生物の摩訶不思議で、複雑で、しかも精巧なメカニズムが、いくつか紹介されています。どれも驚嘆に値します。本来、専門的な内容ですが、それを、福岡さんの、とても理科系とは思えない文系的な文章力で、かっこよく解説されています。

しかし、この生物の複雑なメカニズム、いったいどうやって作られたのだろう?偶然の積み重ねで、はたして作られるのだろうか?

私にはとてもそうは思えない。

サイエンスに神の存在を持ち出してはいけない、というようなことを益川さんが「大発見」の思考法で書いていたけど、何かそんな超越したものを考えたくなってしまいます。


2011年10月8日土曜日

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら

岩崎 夏海 (著):もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら、ダイヤモンド社 (2009/12/4)

8月ごろから仕事の方が無茶苦茶忙しくなったため、8月、9月は読書なし。10月になり、ようやく大きな仕事が3つ片付き、読書再開!

筆者の文章は巧みとは言い難い。それもそのはず、初めての著作だそうだ。そんなこともあって、読み始めは、どうしてこの本がそんなに売れたのか、不思議でしょうがなかった。

ところが、...ところがである

50ページを過ぎたあたりから、俄然、面白くなってきた。

ドラッガーの本は経営者のマネジメントについて書かれたもの。それを野球部のマネージャーが野球部に当てはめて、考える、という展開。たとえば、「野球部における顧客とは何か?」などだが、これを主人公のみなみ達と一緒に、思わず私も考えてしまう。

ドラッガーのマネジメントを自分の仕事にも当てはめて、考えてみようかな?...と思ったけど、けっこう難しそうだ!