2011年7月31日日曜日

バイオニクス学のすすめ [単行本]

軽部 征夫 (著): バイオニクス学のすすめ [単行本]、丸善 (2004/07)

バイオニクスは、著者である軽部氏が提唱した学問分野で、通常の生体工学・バイオの分野以外に、バイオとは関係なさそうなロボットや人工知能まで含めています。「これらは全部、俺の分野だ!」と言い張っているように思えてなりません。「ロボットや人工知能がバイオニクスの一分野だ」と言えば、おそらくロボット・人工知能の専門家は嫌悪感を感じると思います。

また、図や写真は他の文献から引用したものばかりで、図中の文字が小さく、何が書かれているのかよく分かりません。

まあ、一通りの勉強を浅くするには、この本は良いのかもしれませんが...



2011年7月30日土曜日

わたしの良寛

榊 莫山 (著):わたしの良寛、毎日新聞社 (1999/07)

良寛はお坊さんのお勤めはほとんどせず、たくさんの詩と歌を書き残した江戸時代の人。その良寛の生涯を描いた画文集です。

著者は、書家として、画家として、そして文筆家として有名な榊 莫山さんです。この方の、味わいのある絵と書が読者にほのぼのとした感じを与えてくれます。また、良寛の書いた漢詩の訳も、とてもおもむきがあって良かったです。

ただ、この本で描かれている良寛像は、それまで私の持っていたものとは少し異なりました。

良寛と言えば、子供たちと手まりで遊ぶ、純朴な姿が思い浮かびます。でも、この本では、子供とすみれを見に山へ行く話が出てくるだけ。良寛はどちらかというと俗人と関わろうとせず、飄々と生きたように描かれています。

私、こんな飄々とした生き方にちょっぴり憧れてしまいます。著者の榊莫山さんもそんな憧れをもってこの本を書いたのではないかなと思います。





2011年7月17日日曜日

ネイティヴはそう言いません! 日本人英語からの脱出術 [単行本]

多田 裕吾 (著), リサ・ヴォート (著):ネイティヴはそう言いません! 日本人英語からの脱出術 [単行本]、研究社 (2004/11/23)

私たちは文法中心の英語教育を受けてきたため、和文を英訳する場合、日本語の単語を英単語をに置き換え、文法に合うような英文に変換するという作業をしてしまいます。

しかし、ことような英文をネイティブは奇異に感じることも少なくないようです。これは、そもそも感覚や発想が日本語と英語で異なることに起因すると考えられます。

この本はそんな感覚や発想の違いを教えてくれます。

106個の例文で、具体的にこの違いを解説していて、とても勉強になります。

また、英語の勉強法などを解説したコラムもとても参考になりました。

この本の問題点を強いて挙げると、最後の“さくいん”でしょうか?和文を、あいうえお順に並べてあるのですが、いったいこれをどう使えというのでしょうか???キーワードの索引やシュチエーション別の索引とかの方が、関連するページが分かって良かったのではないかと思います。

さくいん以外はVeryGood!です。



2011年7月10日日曜日

「大発見」の思考法 (文春新書)

山中 伸弥 (著), 益川 敏英 (著):「大発見」の思考法 (文春新書) 、文藝春秋 (2011/1/19)

iPS細胞の山中氏とノーベル賞受賞者の益川氏の対談を本にしたもの。...と言っても、おそらく、対談の際に実際に話した内容に、後からかなり文章を追加・編集しているのではないかと思います。対談風著書というべきか?

それはともあれ、かなり面白い話です。特に理科系人間にはたまらないと思います。著名なお二人がどんな人生を歩んできたか、どのように研究をしているのか、研究で何が重要か、大発見はどのように生み出されたか、そして、お二人の趣味の話、などなど。とても興味深い話がいっぱいです。ただ、山中氏のお話は、以前、WEBで見た高校生対象の講演の内容とほぼ同じでした。私にとっては目新しいところは少なかったのですが、それでも面白いと感じました。

お二人とも、とても純粋な研究者なんだな~。

2011年7月6日水曜日

宮本武蔵の五輪書 (原本現代訳 (116))

大河内 昭爾 (翻訳), 宮本 武蔵 :五輪書 (原本現代訳 (116))、ニュートンプレス (1980/11)

宮本武蔵の「五輪書」と柳生新陰流の「兵法家伝書」の現代訳です。

私のまわりには宮本武蔵の五輪書が愛読書だという人が何人もいます。どんな本なのかと以前から思っていたところ,先日、図書館で偶然にこの本を見かけ、読んでみることに。

精神論について書かれた本かと勝手に思いこんでいましたが、中身はとても具体的な兵法の話。
たとえば,戦いの際は「目を動かさず,額にしわをよせず,目の間にしわをよせて,目の玉を動かさないようにし,...,つねの目より少し細めにする.」とか,「太刀の持ち方は.親指と人差し指をうかすような心持ちにし,中指は締めず,ゆるめず,薬指と小指を締める...」など,剣術につては全く知らない私ですが,不思議と何か分かるような気がしてきます.

また,敵を切り殺すことが重要なので,そのためには,敵をだましたり,怒らせたり,物の音で恐怖心を抱かせたり,なども大切だと説いています.つまり,敵を切るためには手段を選ばず!なんという本なのだ!!

スポーツ(特に武術)の分野には,この本に書かれていることが当てはまることもあると思います.しかし,それ以外の分野ではどうなのだろうか?この本を愛読書だという人はいったいどういう人なのだろうか?敵がいて,それを蹴落とすことを常日ごろ考えているような人なのだろうか?

そう思って,この本を愛読書だと言っている人の顔を思い浮かべて,...,「あっ,そうか」と変に納得してしまいました.