宮本 常一 (著):忘れられた日本人 (岩波文庫 青 164-1)、岩波書店 (1984/5/16)
本書には、西日本を中心としたいくつかの地域で、筆者が長老たちから聞き取った話が記されています。主に明治から昭和にかけての昔話(特に明治時代のものが多い)が語られており、当時の人々の暮らしぶりや価値観がよく伝わってきます。
ただし、高齢の語り手による記憶違いや、話に尾ひれが付いている可能性もあるため、どこまでが事実なのか判断が難しい部分もあります。
本書を通じて私が特に印象に残ったのは、次のような点です。
・昔は男女関係がルーズだったこと
・夜這いがごく普通に行われていたこと
・妾をもつ男性が少なくなかったこと
・のんびりした生活ではなく、皆が非常によく働いていたこと
・歌を歌うことが、ほぼ唯一の娯楽だったこと
これらの点から、現代とは異なる価値観や生活スタイルが浮かび上がり、日本社会の変遷を実感しました。私たちが見落としがちな「庶民の歴史」に気づかされる一冊でした。

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